エズラ・ブルックスというブランドはホフマン・ディスティリング社が興したが、市場でさほど有名ではなかった。ところが1950年代の半ば、ジャック・ダニエルが急速に名声を挙げ、生産が追いつかない状態になったとき、そのジャック・ダニエルの対抗馬として、マーケティング関係者が持ち上げたのが、このエズラ・ブルックス。そしてブランド所有権者が、バーボンの名門メドレー社に移り、PRに努めたため、バーボンの有名ブランドと目されるようになった。しかし、当時も中身はメドレー社でつくっていたわけではない。その後、メドレー社は解体し、製品はユナイテッド・ディスティラーズ傘下に吸収された。このオールド・エズラのブランド権は、いまミズーリ州のデイヴィッド・シャーマン社にあり、同社がボトリングとマーケティングに当たっている。原酒の蒸留所名は、企業秘密で通している。エズラ・ブルックスは親しみのある味わい。オールド・エズラは熟成による円熟味が楽しめる。