ビスキー社は、1819年、弱冠20歳の塩商人アレクサンドル・ビスキーが、ジャルナック町に創設。19世紀末には、コニャック・メーカーのビッグ3に数えられるまでに社業は発展したが、20世紀になるころから、やや低迷の時期を過ごした。だが、1965年、パスティスで有名なりカール社の社長、ポール・リカールが同社を買収してから、業績も、品質に対する評価も、上向きに転じた。現在は、8大優良大手コニャック・メーカーの一社として盛業を誇っている。リカール社の買収後、ビスキーの蒸留所は、ジャルナック町から、北のルーイヤック町近くのシャトー・ド・リニエールに移転。リカール社は、ここに多額の設備投資をして、64基の蒸留器を備える近代的工場を完成させた。また、ぶどう畑を整備して、200haにわたる自家栽培を管理している。この広さは、単一畑としては、コニャック最大。ただ、ここからの収穫だけでは、ビスキー生産量の2割以下しかまかなえない。原料の8割以上は、外部から購入して、熟成のうえブレンドしている。ビスキー・コニャックの特徴は、抜群のフルーティな香りを備えていること。これは、再留のさいの中留部分を多く取り出すためだといわれている。エクストラを除き、すべてフィーヌ・シャンパーニュ規格品。VSOPは、10年熟成の品で、エレガントな香味をもつ。プレステージは、豊かでなめらかな、育ちのよさを示す味わい。ナポレオンは、20年熟成によるまろやかさに樽香が加わり、華麗な酒。XO・エクセレンスは25年熟成。深い味わいと重厚さに魅力がある。エクストラは、グランド・シャンパーニュ規格、50年熟成の珠玉品。