カティサークとは、ゲール語で短いシャツの意。1869年、この名をつけた新鋭帆船が、スコットランドで進水。東洋航路に就航して、船脚の速さで名をあげた。カティサーク・ウイスキーは、その名船の名をとって、1923年に生まれ、ラベルにはその船の雄姿を描いて売り出された。なお、帆船はその後ほどなくして引退。現在、ロンドン郊外のグリニッチに記念物として永久保存されている。カティサークは、ライトなスコッチの代表的存在として定評がある。そのライトさは、味だけではなく、色にまで及んでいる。きわめて淡い色合いは、ブレンデッド・スコッチのなかでも際立っている。味のライトさは、ローランド・モルトをベースにしていること、ハイランド・モルトにもグレンゴインやグレングラッサのように穏健なモルトを選んできたことが、大きなファクターになっている。さらに、ごく柔らかい味わいのグレーン・ウイスキーをブレンドしてあることも、ライトな味に寄与している。ライト・ウイスキーという点では、よくJ&Bのライヴァルと見なされている。J&Bは、すっきりした口当たりだが、カティサークには、穀物由来のうまみが残っている感じがする。12年は、カティサークが本来もっているライトな飲みやすさを残し、深い味わいとなめらかさがある。12年エメラルドは船にちなんで、灯台をモチーフにしたプリズム・ボトル入り。長期の熟成を経て、さらに深いまろやかさが加わっている。ベリーズ・ベストは、一連のカティサーク・ブランドとは違った、古典的で芳醇なスコッチとして、第2次世界大戦後に生まれた。コーヒーミルが描かれているのは、ベリー社がかつてコーヒー専門店であったことの名残である。ブルー・ハンガーは、18世紀、青いジャケットを着て、ダンディで鳴らしたウイリアム・ハンガーにちなんだ銘柄。彼は、ベリー社の上客でもあった。麦芽香味まろやかで、快いあと味が舌にじっくり残る。