インヴァーハウスは、1856年、ハイランド地方インヴァネスで、ウイリアム・デヴィッドソン社が世に送り出したのがその始まり。現在は、ローランド地方のエアドリー村で、インヴァー・ハウス・ディスティラーズ社が製品化している。同社の所在地は、もとモファット蒸留所だったところで、グレン・フラグラーという穏やかなモルトを産していたが、1980年代半ばから蒸留を中止している。その蒸留所跡を本拠とするインヴァー・ハウス社は、現在ハイランド・モルトのノックデュー、スペイバーンなど4つの蒸留所を所有している。ノックデュー・モルトの特徴は、スコッチバターを連想させるツヤのある香り、甘さとフルーティさを備えたソフトな香味にある。現在のインヴァー・ハウスは、この中庸タイプの優れたハイランド・モルトを風味の中核に据え、その他のモルトをヴァッティングして飲み口の柔らかいブレンデッド・スコッチに仕上げている。ラベルのインヴァー・ハウスという酒名の下にグリーン・プレイドという文字の入っているボトルがある。これは緑色の格子じまの肩掛けのこと。ラベルの地模様を指している。スタンダード品は、ソフト・アズ・ア・キッスが売りものの柔らかな味わい。12年はその柔らかさに、まろやかな熟成感が加わる。21年は、25年から26年熟成のモルト原酒20種を主体にブレンド。長期熟成を感じさせる香りと余韻の深さが特徴。25年は、25年から30年熟成のモルト原酒15種が主体。さらに深みのある味わいを楽しめる。35年は厳選されたモルト原酒20種をブレンド。長期熟成が醸し出した芳醇さは、ほかに類を見ない。