ハイランド南西部のキンタイヤ半島に位置するスプリングバンク蒸留所は、キャンベルタウン・モルトの最盛期の1828年に創業。以前はウイスキー産地としては最小区域ながら、独立した地域名称を与えられていたが、現在はハイランド・モルトに組み入れられている。同蒸留所の特徴は、昔ながらの製法にこだわり、原料である二条大麦の発芽から瓶詰めまで一貫して蒸留所内で行っていることにある。瓶詰め設備を持っている蒸留所は、こことグレンフィディックの2ヶ所だけである。また、カラメルなど色調整のための添加物を使用せず、冷却濾過しないで瓶詰めを行うなど、独自のテイストを追求している。熟成期間によりボディの違い、微かに甘みが変化する楽しさを体験できる5種類の熟製品。CVはChairman's Vatの略で、会長のイチ押しの意味。7~8年ものを中心に、12年、20年熟成のモルトをヴァッティング。12年はスプリングバンクのスタンダード品で、21年、25年と進むにしたがって、熟成感が深まる。いずれも独特のコクのある風味をもちながら、しつこくないピート香を感じさせる。また、蒸留所が半島の南端に位置していて、長い間海風を吸い込みながら熟成するため、アイラ・モルト的な風味も加味されている。これとは別に、ヘビーでピート香の強いロングロウも発売している。