アイラ島南岸にあるアードベッグ蒸留所は、1815年、島の住民マクドーガル家によって創設された。アードベッグとは、ゲ―ル語で小さな岬の意味。150年近くはマクドーガル家が経営にあたっていたが、その後は浮沈をくり返し、近年になってからも操業と休止をくり返してきた。アライド・グループの一員となり、バランタインの原酒をつくっていた時期もあったが、1997年にグレンモ―レンジ社が買収。同社のもとで大改修工事が進み、操業が再開された。フロアモルティングはまだ再開されていないが、全モルト・スコッチ中最もピートの度合いが強く、アイラ・モルトの中でも特異な存在となっている。蒸留器は所留、再留釜合計2基。ランタンヘッド型で再留釜にはアイラ島では唯一、精留器が取り付けられ、独特の個性を生む。17年は穏やかなピート香をもち絶妙のバランスが楽しめる。1978年ヴィンテージは、スモ―キーでピーティなアードベッグらしさが際立ったボトルで、壮大な海のイメージが感じられる。30年はスモ―キーさと麦芽由来の香ばしさが絶妙にミックスされた逸品。長期熟成品にのみ許された至福の時を味わうことができる。プロヴナンス1974は、バーボン樽由来のバニラ香とスモ―キーさが溶け合った、気品漂う究極のアードベッグ。未来への希望を拓くウイスキー。