蒸留所はスペイ川沿いにあり、昔この地が聖コロンバの丘を意味するマ・コラムと呼ばれていたのがマッカランと変わったもの。正式の創業年は1824年。現在、第2蒸留所をもち、蒸留器総数は初留7基、再留14基、合計21基となっている。マッカラン・モルトの特徴は、原料の二条大麦にすべてゴールデンプロミス種を使用し、熟成用の樽も2年間オロロソ・シェリーの貯蔵、熟成に使用したものだけを輸入して使っている点にある。蒸留器は昔ながらの形を復元し、スペイサイドで最小のものを使用している。そして誕生するモルトは、スペイサイド・モルトとしても重厚で、麦芽由来の香味と、シェリー樽熟成によるブケ、甘みのバランスが素晴らしい。英国ハロッズの「ウイスキー読本」ではシングル・モルトのロールス・ロイスと評されている。ディスティラーズ・チョイスは、ザ・マッカランの貴公子として1995年に日本向けに新しく開発された入門用シングル・モルトの自信作。若々しいパワーを感じさせながら、甘くフルーティーな香りはマッカランそのもの。10年は、麦芽香味にクリーミーな香りが調和して、やや辛口の切れ。10年100プルーフは、力強さがみなぎっているが、これはほぼ樽出しそのままの100プルーフ(57度)という強度によるもの。さらにフルーティーなシェリー香、それにスモーキー・フレーバーが奥行きを添えている。12年には果実のようなデリシャスな味わいがある。18年はカルヴァドスに近く、芳醇な味わいをもつ。25年はほどよく効いたスモーキー・フレーバーと、豊かなコクが素晴らしい。18年と25年は、どちらも蒸留した年をラベルに表記しているので、蒸留年による味わいの違いを楽しむことができる。