ジンは、無色透明、爽やかで奥深い香味をもった酒だ。 ジンの生まれ故郷は、オランダ。1660年、ライデン大学の医師シルヴィウス博士が、薬酒として開発したのが起源だ。
博士は、アルコール液にジュニパー・ベリー(杜松の実)を浸漬、蒸留して、解熱剤として薬局に販売させた。 名称は、ジュニパー・ベリーのフランス語、ジュニエーヴルにちなみ、ジュニエーヴル・ワインとした。 このジュニエーヴルが、のちにイギリス人の間で縮まってジンという名称になった。
現在、ジンの主流となっているのが、ドライ・ジンである。 原料は、とうもろこし、大麦、ライ麦など。これらから、連続式蒸留器で度数95度以上のグレーン・スピリッツをつくり、 植物性成分を加え、もう一度単式蒸留器で蒸留して、成分の香りを溶けこませる。 植物性成分としては、ジュニパー・ベリーのほかに、コリアンダー・シーズ、キャラウエイ・シーズ、シナモン、アンジェリカ、オレンジやレモンの果皮、 その他各種の薬草、香草類が使われるが、どれをどのくらい使うかは、メーカーごとのノウハウになっている。
オランダのジンは、イェネーフェルというが、日本ではジュネヴァと呼ばれている。 昔ながらに、単式蒸留器を使用してつくられ、風味やや重厚派が多い。 ドイツにも、ジュニパー・ベリーを発酵、蒸留してつくる一種のジンがある。